「ディア・ハンター」の感想
「ディア・ハンター」を観ました。
原題:The Deer Hunter
公開:1978年(アメリカ)
上映時間:183分
個人的には、イマイチでした。
むしろダメダメ。
鹿狩りを趣味とするペンシルベニアの鉄鋼労働者の若者3人が、ベトナム戦争に出兵し、それぞれ何かを喪失して帰還する話。
ロシアンルーレットの描写が史実に基づいているかどうかで、評価が一変する。
私は史実に基づいていないと思うので、上記の評価になっています。
世間では、評価が高いらしい。
よい点。
帰還後、仲間に対して拳銃を向けている人に激昂し、拳銃を奪って放り投げるシーンは良かった。
イマイチな点。
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結局、戦争をほとんど描いていない
中盤では「捕虜のロシアンルーレット・流木で逃走&ヘリから落下・雑踏の風景・病院・闇ロシアンルーレット」を描写しているだけ。
実際の戦闘シーンの描写はほぼない。
まるでコロナとプロミネンスだけを描いて太陽を表現したと主張するようなもの。
中身を描かず、周辺だけ描いて、観客に委ねている。
とりわけ「捕虜のロシアンルーレット」に焦点が当たりすぎていた。
密室でドラマを作ることでコスト削減を図ろうとする、作り手側の思惑を想像してしまう。 -
「捕虜に対してのロシアンルーレット」が史実に基づいていない
ベトナム人を悪く、アメリカ人を被害者に描いてしまっている。
ベトナム人差別に繋がる描写であり、よくないなと思いました。 -
上映時間が長い
183分は長すぎる。
削れる部分だらけだったように思う。
とくに前半のパーティーシーンが長すぎる。
戦争シーンまでに1時間以上かかる。 -
上映時間が長い割に、必要な情報や説明が少なく、場面転換が突然で不親切
中盤、戦争のシーンが突然始まる。
アメリカとベトナムの様子を対比構造で描く意図は分かる。
だけど、観客に負荷がかかる。
例えば、ただでさえ外国人の顔と名前を覚えられないのに、
似たような服装で泥だらけの状態になると、ほんとに誰かわからなかった。
緊迫するロシアンルーレットのシーンなのに、話よりも、まず誰が誰なのかを整理し直すことに脳のリソースを使うことになる。
その結果、話が頭に入ってきにくくなっている。最後のロシアンルーレットのシーンも、なんでニックは昔のことを思い出しかけたのに、引き金を引いたのかよくわからなかった。分かるような説明も無かったと思う。
精神を病んでいるからしかたないという見方もあるだろう。
けれど、ニックにそうしてもらわないと、脚本家が困るからっていう理由だけなのでは。