「円 劉慈欣短篇集」の感想

劉慈欣(著) 「円 劉慈欣短篇集」を読みました。
すごくおもしろかったです。
翻訳も小難しくなく読みやすい。
作品の内容も、暗いものや明るいものどちらもあり、幅が広い。
収録作品のどれもがアタリという印象。
どうりで「三体」という作品が、巷で話題になるわけですね。
まだ読んでないが、読もう、「三体」を。

本書は劉慈欣の入門にうってつけだと思います。
なぜならば、ひとつの作品につきひとつのSFアイディアであり、短編集なので一作が短いからです。
どうやら「三体」は大長編みたいなので、それに挑む前にはちょうどよいと思います。


収録作品(備忘録的ざっくりとした内容付き)

  • 鯨歌
    クジラで麻薬を密輸する話
  • 地火
    炭鉱夫の息子が、地下炭田をガス田にしようとする話
  • 郷村教師
    人生を極貧村の子どもたちの教育に捧げた教師の最後の授業と、宇宙戦争とが交差する話
  • 繊維
    軍人がパラレルワールドにちょっと行く話
  • メッセンジャー
    バイオリンを奏でる老人とそれに耳を傾ける若者との話
  • カオスの蝶
    バタフライエフェクト的な方法で気象を操作して、戦争にちょっとだけ介入する話
  • 詩雲
    “神"が李白の漢詩を超えるために、総当り式で漢詩を自動生成して、詩雲ができる話
  • 栄光と夢
    戦争の代わりにオリンピックスポーツで、国家間の決着をつける話
  • 円円のシャボン玉
    シャボン玉が好きな少女とその父とが、砂漠化がすすむ北西部に、信じられない光景をもたらす話
  • 二〇一八年四月一日
    長寿命化技術が確立した未来で、格差と現世での葛藤を描く話
  • 月の光
    未来の環境問題にたいして、未来の自分からアイディアを知らされる話
  • 人生
    母親の記憶を完全継承した胎児と母親が会話する話

  • 始皇帝が人力演算器をもちいて円周率計算を行う話

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